
ウェブサイトは、ツアーと予約が集まる、自分で管理できる場所です。SEOは、Googleがそのサイトを見つけ、理解し、適切な検索で表示できるようにする取り組みです。GEOは、ChatGPTやGeminiのようなAIアシスタントに自社を知ってもらい、おすすめしてもらうための取り組みです。3つとも土台は同じで、人のために書かれた正確で信頼できるコンテンツです。
ウェブサイト、SEO、そして最近はGEO。初めて聞くと、どれも難しそうに感じるかもしれません。専門用語、食い違うアドバイス、「これをしないとGoogleにペナルティを受ける」で始まる記事……。
でも、実はそれほど複雑ではありません。根っこにあるのはいくつかのシンプルな考え方で、それがわかれば残りは自然と理解できます。そこで私たちはシリーズを始めます。ウェブサイト、SEO、GEOを、ゼロから、いちばんシンプルな形で説明していきます。各記事で扱うテーマは1つ。例はツアー・アクティビティ事業者の日々の仕事から取り上げます。
第1回では、3つの考え方を紹介します。なぜウェブサイトが土台なのか、SEOは何をするのか、そしてなぜ今GEOが話題なのか。予備知識は必要ありません。
土台:なぜ自社サイトが大切なのか
多くの事業者は、売上の大半をGetYourGuideやViatorのようなプラットフォームで得ています。こうしたプラットフォームには価値があり、今後も活用するのは理にかなっています。私たちの英語の用語集では、これらをOTAと呼んでいます。ただしそこでは、あなたは他人の棚に並んでいる状態です。ルールも手数料も、お客様とのやり取りの方法も、プラットフォームが決めます。
一方、自社サイトはあなた自身のお店です。ツアーの説明の仕方、見せる写真、お客様との話し方を自分で決められます。手数料を払わずに予約を受けることもできます。プラットフォームにいくら払っているか知りたい場合は、手数料計算ツールで数秒で確認できます。
とはいえ、どんなに素敵なお店でも、誰もたどり着けなければ売れません。SEOとGEOは、まさにこの「たどり着いてもらう」ための取り組みです。
SEOとは?Googleはどうやってページを見つけるのか
SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンで、適切な検索のときに自社サイトが表示されるようにするための取り組み全般のことです。
いちばんわかりやすいのは、Googleの仕組みを知ることです。Googleは公式ドキュメントで、その流れを3つの段階で説明しています。
- クロール:Googleのロボットがリンクをたどってページからページへと移動し、新しいページや更新されたページを見つけます。
- インデックス登録:見つかったページを読み、内容を理解して、巨大なデータベース(インデックス)に保存します。インデックスにないページは、検索結果に表示されることはありません。
- 検索結果の表示:誰かが検索すると、Googleはインデックスの中から、その人の質問にいちばんよく答えていると判断したページを選び、順番に並べます。
図書館にたとえてみましょう。司書はまず本の存在を知り、次にそれを読んで正しい棚に置き、最後に誰かが「カッパドキアの気球ツアー」について尋ねたときにその本をすすめます。
SEOは、この3つのステップそれぞれをスムーズにすることです。サイトが見つけられ、正しく理解され、適切な質問への答えとして表示されるようにします。シリーズの後半で、各ステップを1つずつ詳しく見ていきます。
Googleが本当に求めているもの
SEOと聞くと、裏技を思い浮かべる人も多いでしょう。キーワードを15回繰り返す、隠しテキスト、購入したリンク。こうした手法は効果がないうえ、Googleのスパムに関するポリシーに明確に違反します。
Googleが有用なコンテンツに関するガイドで述べていることは、実はとてもシンプルです。検索エンジンのためではなく人のために書かれた、本当に役に立ち、信頼できるコンテンツ。それを評価するために、GoogleはE-E-A-Tと呼ぶ4つの要素を見ています。
- 経験(Experience):書き手は、書いている内容を実際に体験しているか。そのツアーを実際に催行している事業者が説明するルートは、行ったことのない人が書いたものより価値があります。
- 専門性(Expertise):書き手はそのテーマに詳しく、情報は正確か。
- 権威性(Authoritativeness):その分野で、ほかの人たちがこの情報源を参考にしているか。
- 信頼性(Trust):情報は正確で、透明性があり、最新か。Googleは、4つの中でこれが最も重要だとしています。
ツアー事業者にとって、これはとても良いニュースです。あなたはすでに現場にいます。混雑を避けられる時間帯、ルートのどこで休憩するか、お客様がよく聞くこと。そうした実体験からの知識こそ、Googleが評価したいものなのです。
GEOとは?なぜAIが関わってきたのか
ここ数年で、人々の情報の探し方が変わり始めています。Googleに短いキーワードを打ち込む代わりに、ChatGPT、Gemini、PerplexityといったAIアシスタントに長く具体的な質問をする人が増えています。たとえば「子ども連れの家族向けに、イスタンブールで落ち着いたサンセットクルーズを教えて」といった具合です。
Googleも検索結果の一番上に、AIが作成した概要(AI による概要)を表示するようになりました。そのため、どのサイトもクリックせずに答えを得るケースもあります。
GEO(Generative Engine Optimization)とは、こうしたAIの回答の中で、自社が正しく言及され、おすすめされ、情報源として引用されるようにする取り組みです。この言葉は2023年に発表された学術論文で初めて使われ、急速に広まりました。
良いニュースは、GEOがSEOとまったく別の新しい世界ではないということです。AIアシスタントも、回答を作るときにウェブ上のコンテンツを大いに参考にしています。わかりやすく正確で、誰が書いたかがはっきりしているページは、GoogleでもAIの回答でも目立ちます。しっかりしたSEOの土台があれば、GEOの大部分はすでにカバーできています。
3つはどうつながっているのか
まとめると、次のとおりです。
- ウェブサイト:土台。ツアー、情報、予約が集まる、自分で管理できる場所。
- SEO:Googleがサイトを見つけ、理解し、適切な検索で表示すること。
- GEO:AIアシスタントがあなたを知り、質問した旅行者にすすめること。
どれか1つが欠けても、ほかの2つは十分に力を発揮できません。SEOのないサイトは、誰も通らない通りにあるお店のようなもの。そしてサイトがなければ、SEOもGEOも成り立ちません。
よくある誤解
- 「SEOは一度やれば終わり」。違います。検索結果も競合もお客様の質問も、常に変わり続けます。SEOには定期的な手入れが必要です。
- 「SEOはすぐに結果が出る」。たいていは出ません。新しいページがクロールされ、理解され、信頼されるまでには時間がかかります。根気も仕事のうちです。
- 「キーワードは多ければ多いほどいい」。逆です。不自然で繰り返しの多い文章は読者を遠ざけ、Googleからマイナスに評価されることもあります。
- 「AIが来たからSEOは終わった」。いいえ。AIアシスタントも、よく書かれたウェブページから情報を得ています。変わったのは、コンテンツがこれまで以上にわかりやすく、信頼できるものである必要があるという点です。
このシリーズで扱うテーマ
今後の記事では、1回に1つのテーマに絞って、次の内容を取り上げます。
- 良いツアー事業者のサイトには何が必要か
- ドメイン、サーバー、HTTPS:技術の基本をやさしく
- キーワードとは?旅行者が実際に何を検索しているかを知る方法
- タイトル、説明文、ページ構成:Googleはページをどう読むのか
- 表示速度とスマートフォン対応が大切な理由
- Google Search Consoleで、Googleでのサイトの状況を確認する
- Google ビジネス プロフィールとローカル検索
- レビューが見つけやすさにどう影響するか
- AIアシスタントに取り上げられるコンテンツの書き方
今日からできる、小さなこと
シリーズのスタートに、簡単なテストをしてみましょう。この記事に出てきた用語の短い説明は、英語の用語集にあります。Googleを開き、検索ボックスに site:yourdomain.jp と入力してください(ご自身のドメインで)。結果には、Googleがインデックスに登録しているサイト内のページの一部が表示されます。何も表示されない、あるいは主要なツアーページが見当たらない場合、まさにそこがこのシリーズが最も役に立つポイントです。
次に、旅行者の気持ちになって、ツアーを表す自然な言葉で検索してみてください。たとえば「ギョレメ 朝日 気球」。自社サイトはどこに表示されますか?同じ質問をChatGPTやGeminiにもしてみましょう。あなたの名前は出てきますか?
この2つの答えで、現在の立ち位置がわかります。次回は、良いツアー事業者サイトの基本的な構成要素を見ていきます。待ちきれない場合は、一緒にサイトを確認することもできます。
参考資料
- Google の検索エンジンの仕組み、検索結果と掲載順位について, Google 検索セントラル (developers.google.com)公式情報
- 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成, Google 検索セントラル (developers.google.com)公式情報
- Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー, Google 検索セントラル (developers.google.com)公式情報
- AI 機能とウェブサイト, Google 検索セントラル (developers.google.com)公式情報
- 検索演算子「site: 」の使い方, Google 検索セントラル (developers.google.com)公式情報
- GEO: Generative Engine Optimization, Aggarwal ほか、arXiv(2023) (arxiv.org)
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